構造くん(Structure-Kun)

映画と本と音楽と写真が好きな大学生のブログです。

ヘイトフル・エイト(”The Hateful Eight”)感想-<O.Bに愛が止まらない>

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全員が嘘をついているワケありの男女8人が雪嵐のため山小屋に閉じ込められ、そこで起こる殺人事件をきっかけに、意外な真相が明らかになっていく。(映画.comより)

  おすすめ度 5点/10点

 中学生の時にKill Billを見て、クエンティン・タランティーノは頭がおかしいのだ、と思った。なにしろグロ耐性がなかったので、脳がべろーん、とか、血がぶしゃあ、とか、そういう描写が続くあの映画がほんとうに怖かった。大学生になった今、"The Hateful Eight"(ヘイトフル・エイト)を大スクリーンで観て、「血(笑)ヤバい(笑)ウケる(笑)」と思えるようになったのは、成長だろうか、それとも心が汚れただけなのだろうか。やはり例に漏れず、血がぶしゃあ、と出る。頭が銃によってぱあんと破裂し、ナイフで人が滅多刺しにされる。大体の人が予想できていることだと思うので書くが、「あれ? この山小屋、血が付着してない面積の方が少ないんじゃない?」と思うくらいびしゃびしゃ血が出る。面白いと思うかどうかは人によりますね。

 ネタバレは後に回すので、とりあえずは安心して読み進めてほしいです。

 この映画がおすすめかおすすめではないかと言われれば、決しておすすめはしないです。間違ってもデートで観るなよ。先述した通り、血がぶしゃあぶしゃあ垂れ流される映画なので、当然人は選びます。構造くんは割と面白く観れました。バカなので、お祭りみたいな映画——こういう、人がばんばん死んでいく映画がすきです。もちろん、映画だから楽しめる、というだけです。映画だからこそ、ブラックな笑いが可能なのかなあ、と。

 サミュエル・L・ジャクソン演じるウォーレン少佐、いいキャラなんです。詳しくはネタバレの方で書きますが、ほんとにこいつは! って感じ。他にも色々いいキャラが。ていうか、全員好演なんですよね。役者に関してはケチつけらんない。ジョン・ルースカート・ラッセル)がギターぶっ壊した時のドメルグの反応、あれ素なんですね。すごい。(ギターうんぬんの話は『ヘイトフルエイト ギター』とかで検索して下さい。すごく簡単にいうと、カート・ラッセルが4万ドルのギターを完膚なきまでに破壊した、という話です)

 それから登場人物の中にO.Bという男が居るのですが、こいつがなかなか良い奴。馬車を駆る御者なのですが、猛吹雪の中、お使いを頼まれて山小屋を出て行き、帰ってきて「もう二度と外には出ない!(泣)」とマジギレし、毛布的なものにくるまって暖炉の前に横になる。蓑虫かお前は。それからもずっとO.Bが可愛い。山小屋の中は終始、険悪なムードが漂っているのだけど、O.Bだけはなぜか信頼されている。かわいい。きっと人柄のなすところ。かわいい。

 ということで、この映画の中で、構造くんは O.Bがいちばんすきです。そのことを念頭に置いて、以下のネタバレ記事を読んで頂けると幸い。

(以下ネタバレ)

 

 

見終わった後の構造くん

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やっぱ全員死んだな、と思いました。けどさ。けどさー!!!

 

なんでや!?!O.Bなんも悪いことしてへんやろ!?!?!?!?!?!?!?

 

ジョン・ルースに巻き込まれて、毒入りのコーヒーを飲んだO.Bくんは勢いよくひねった蛇口から出る水くらいの勢いで血をどばどば吐き死んでしまいました。なんでや……なんですぐO.B死んでしまうん……。ジョン・ルースが吐いた血を浴びながら笑うドメルグ……恐ろしい……けど、記憶では、ジョン・ルースの方がO.Bより先にコーヒー飲んでたはずなんだけど、なんで血を吐いたのは後なんだろう。太ってて毒が回りにくかったのかな。それとも先にO.Bを殺したかったのかな。O.Bかわいそう。

マニックスが「O.Bめっちゃいい奴なのに殺すとか最低だな」的なことを言ってたし、ルースもO.Bに「この鉄砲捨ててこい。お前のこと一番信頼してるからな。あとコート着てるしな」的なことを言ってたので、やっぱりO.Bくんは性格が良かったのでしょうか。かわいそうに。ていうか、O.Bくんは「ヘイトフル・エイト」の「エイト」の中にも入れてもらってないんですよね。ヘイトフル・エイトなのは、山小屋の中に居るO.B以外の七人+地下で潜んでいて、ウォーレンのアレを吹き飛ばしたドメルグの弟と考えるのが妥当でしょう。なんでや。せめてエイトの中には入れてやってあげてや。

ていうか、ウォーレン少佐、ふつうにクズ野郎だな!?!?!? 将軍の息子殺した時の話(雪の中何時間も裸で歩かせて、しまいには自分のを咥えさせて大笑い)とか、「いや、そら将軍も撃つわな!?」って感じだった。最後、ドメルグを吊る時も、自分のアレを抑えて息も絶え絶えだったのに、爆笑してたし。

最後のシーン(ウォーレンとマニックスが血まみれで”リンカーンからの手紙”を読むシーン)も笑えた。「共に手を取り合って」的なところを読んでいる時に、ドメルグと手錠で繋がれた切断されたルースの手が映ったりね。リンカーンの手紙(ウォーレンの偽造)は「みんな仲良くしよう未来は明るい」を訴えているのに、この惨状。真逆やないかーい、って感じですね。

面白く観れたけど、やっぱり人に軽々しくおすすめはできない。話したいけど話せないこのもどかしさ。ひー。